重箱のおすみつき

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飛んでる飛行機の速度って測れないの?

飛んでる飛行機の速度って測れないの?

空港から比較的近くに住んでいる方は、外を歩いているとき「ゴォー」と音が聞こえて、空を見上げると飛行機が飛んでいた、なんて経験があると思います。

あの飛んでいる飛行機の速度をお手軽に測れたらなぁと思って、測定のための方程式を作りました。 併せて測定方法も紹介します。

目次

飛行機の速度が分かったら何がうれしいのか?という疑問を持つかもしれませんが、速度が分かっても特にうれしいことはないと思います。 強いて言えば、夏休みの自由研究のテーマに使えるとか、飛行機マニアの楽しみが増えるくらいでしょうか。

では何が楽しいかというと、一見、何だか分からなさそうなものでも、数学と物理の知識を使えば測定ができるということです。空を見上げた時に飛んでいる飛行機の速度がどれくらいか、なんて想像がつきませんが、目と耳と指でも上手く使えば、知ることができるのです。不思議ではないですか?(これを読んだ後は 不思議ではなくなるでしょう)

先に測り方と結果

小難しいことは置いといて、先に測り方と測定結果を書いていきます。 理論については後ほど、好きなだけ書くのでお待ちください。

測定に必要なものは以下の通りです。

  • 時間を計れるもの
  • 角度を測れるもの
  • 飛んでいる飛行機(ただし、視認できて、飛行音が聞こえる距離にあって、高度が安定しているもの)

ストップウォッチや分度器などがあれば、より精度よく測定できますが、始めは"お手軽に"体感で測定してみても良いでしょう。また、時間と角度の2つの測定が必要なので、2人1組で測定した方が簡単です。

さて、飛行機が飛んでいる位置を元に、状態を大まかに分けると、

  1. 近づいてくる状態
  2. 横切っていく状態
  3. 遠ざかっていく状態

と分けられます。飛行機を見つけるのは、1. 近づいてくる状態の内におこなってください。

測定開始

測定の開始は 2. 横切っていく状態になった正にそのときです。以下の 図1(a) がその状態です。このとき、飛行機の進行方向と飛行機への視線方向が垂直になるように、飛行機を良く見て方向を調整しておいてください。

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図1(a):測定開始時の状態

図1(a)のように、飛行機が横切る瞬間にストップウォッチをスタートさせ、また飛行機の位置を指を差すなどして覚えておきます。指は差したままです。このとき、飛行機の音がどこから来ているかを意識してください。

それから一応、今回測定しようとしているのは、図中の速度 \( v \)です。

測定終了

測定の終了の時は、3. 遠ざかっていく状態の中で、図1(b) のように飛行機の音が先ほどの位置から来た時です。 耳で音の到来方向を決めるのは結構難しいです。まずは"お手軽に"適当に測定してみましょう。

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図1(b):測定終了時の状態

図1(b) のように、飛行機が横切った位置から飛行機の音が来た時に、ストップウォッチをストップします。そして、そのときに飛行機がいる位置を指を差してください。

この測定で、

  • 図1(b) のストップウォッチで測定した \( T_1 \)
  • 測定開始時と測定終了時に指さした2本の指の間の角 \( \phi \)

が得られたはずです。 \( T_1 \) は 5 秒から10 秒程度、\( \phi \) は10°から45°程度になるかと思いますが、測定場所、測定対象の飛行機によって変わるので一概には言えません。

データ解析

データ解析と大仰にかっこつけて書きましたが、やることは簡単です。掛け算を一回するだけです。

以下の式を計算してください。

$$ v = c\ \tan(\phi) = 340\ \mathrm{m/s} \times \tan(\phi) $$

\( c \) には、図1(b) に書いてある音速の典型値を使いました。\( \tan(\phi) \) は三角関数タンジェントですが、恐れることはありません。グーグル検索窓で tan(45度) などと打てば、正しく1 と計算してくれます。

測定結果

それでは、私が目で見て、耳で聞いて適当に測った値を使って、飛行機の速度を計算してみます。

得られた測定値は、

  • \( T_1 = 5 秒 \)
  • \( \phi = 20° \)

でした。よって、飛行機の速度 \( v \)は

$$ \begin{aligned} v &= 340\ \mathrm{m/s} × \tan(20°) \\ &\simeq 124\ \mathrm{m/s} \\ &\simeq 446\ \mathrm{km/h} \end{aligned} $$

となります。

こちらのブログでは、離陸速度は300 km/h を超えるとあります。 becomeapilot.xyz

飛行機の速度は個体差があると思いますが、今回の測定値はそれと同等の値が得られました。

ちなみに、測定に詳しい人は、私の測定値の有効桁数はおそらく1桁で、計算結果は

$$ \begin{aligned} v &= 1 × 10^{2} \ \mathrm{m/s} \\ &= 4 × 10^{2} \ \mathrm{km/h} \end{aligned} $$

と書くべきだと気づくかもしれません。

さらにちなみに、\( \phi \) は音の到来方向を耳で判断しており、10°程度は簡単に間違います。これを測定誤差といいます。よって、 測定値 \( \phi = 20° \pm 10° \) であり、仮に \( \phi = 30° \) として計算すると、

$$ \begin{aligned} v &= 340\ \mathrm{m/s} × \tan(30°) \\ &= 2 × 10^{2} \ \mathrm{m/s} \\ &= 7 × 10^{2} \ \mathrm{km/h} \end{aligned} $$

と結構変わると思います。これを誤差伝搬といい、角度の測定の精度が悪い(誤差50%)ことから生じています。

ところで、もう一つの測定値 \( T_1 \) を使っていませんでした。結局、速度の算出には使わなかった訳ですが、 \( T_1 \) と音速\( c \)、飛行機の速度\( v \) を用いると、

  • 飛行機が横切るときの、飛行機までの距離 \( c T_1 = 1.7 \) km
  • 飛行機が時間 \( T_1 \) の間に移動した距離 \( v T_1 = 600 \) m

を計算することができます。具体的にどこの距離を示しているかは、図1(b) を参照してください。 だいたい、持久走のときに苦労させられた距離かと思います。

距離感が分かると、この測定がどれくらいの規模感の実験なのかが実感できるかもしれません。

終わりに

「終わりに」と言いつつ、この記事は序章です。To Be Continued くらいがちょうどいいですかね。

序章なので、数学や物理の深い知識がなくとも、三角関数くらいの知識で読めるように書いたつもりです。 意味不明なところはコメントお願いします。

次回以降で、そもそも何故測定できるのか(幾何学的に)、速度を算出した式はどこから来たのか(方程式の導出)、もっと精度良く速度を測定できないのか(誤差論で議論)などについて書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

初回投稿なので、、、

終わりに の後に何かあるのも変なんですが、初回投稿なので記念に何か書いておきます。

日常、生活していると、いろいろアイデアが出てくるんですが、その発散とアウトプットの練習の場として、このブログを活用、更新していこうと思います。あとそれから備忘録としても。

私は凝りだすと結構細かいところまで気になって、なかなか物が完成しないんですよね。この記事自体も何日かかけていたり、作図ツールを探して時間を使ったりしました。

作図は Sketchup というものを使ってみようとか、Processing で生成しようとか、CADツール使ってみるかとか考えたんですが、ツールの使い方を覚えるのに時間がかかって、肝心の記事はほったらかしになってしまいました。結局、パワポ、キーノートに慣れていたので、しかしOfficeは入れていなかったので、Libre Officeを入れて、Draw というやつで書きました。でも、ゆくゆくは、便利な作図ツールを使いこなしていきたい(願望)。

ブログのお作法とか(あるか分からないけど)、一記事に詰め込む情報量の塩梅とか使いながら慣れていきたい。

ともあれ、(自分が)面白い(と思う)記事を更新していきます。どうぞよろしく。